高野山の森林を護り続けてきた「高野六木」制度

 高野山は、豊かな森林に囲まれた宗教都市です。
神聖で荘厳な雰囲気が漂う奥之院周辺の杉木立や、非日常空間を訪れたかのように感じられる、森林に囲まれた寺院の街並み。 ここは果たして昔から豊かな自然に抱かれた場所だったのでしょうか?   
 高野山の森林の歴史は古く、弘法大師空海が密教の修行の場として高野山を開いた816年の当時は、山上の平地は樹々もまばらな沼地であったといわれています。 
 その後、弘法大師が嵯峨天皇から高野山を下賜された頃では、およそ3000haの山林があったそうです。 度重なる火事に見舞われた高野山では、寺院の再建のために周囲の樹々を多く伐採し、一時は荒廃してしまいましたが、祈親上人の手により、ヒノキ苗を中心とした植樹により周辺の山林を復興させてきました。
その後も大火の度に伐採される森林のために、同じ場所の木を全部伐らない、森林の再生のために建築用材として使える木を植えるなど、伐採に関する決まり事を設け再生復活を続けてきました。
  1813年、寺院や伽藍の修繕用としての目的以外の伐採を禁止し、建築用材として使用する 【スギ・ヒノキ・コウヤマキ・モミ・ツガ・アカマツ】の六種類を保護育成する【高野六木制度】が制定され、六木を中心に高野山の森林は豊かな森林環境を後世に引き継いでいくことが出来ました。
   その後、森林の様子も時代とともに変化しつつも、戦後荒れ果てた森林を再生・育成し現在に至ります。
多くの人の手により受け継がれ護られてきた高野山の森林。 先人達より託された歴史と豊かな財産であるバトンを、現在の私たちもまた後世の人々に引き継いでいかなければなりません。

【聖地 高野山と有田川上流域を結ぶ持続的農林業システム】

継承すべき伝統的な農林業システムとして、高野六木制度が令和3年2月19日(2021年)日本農業遺産に認定されました。

詳しくはこちら 【高野町HP】https://www.town.koya.wakayama.jp/sangyo/nougyo/14150.html